わかりづらい米国ETFの分配金に掛かる税金をVYM(バンガード 米国高配当株式ETF)を例に試算してみます。
▼この記事の目次(もくじ)
米国ETFの税金の仕組み
米国ETFの分配金を受け取る際には、米国の源泉徴収税と日本の源泉徴収税を差し引いた金額が分配金としてもらえます。
米国ETFの分配金には、米国と日本で二重に税金が掛かるということです。
米国の源泉徴収は米ドルベースで行なわれ、国内の源泉所得税は円換算した金額を差し引きます。
※税金の計算において、計算途中でセント未満、円未満の端数が発生した際は、すべて切捨てとなります。
米国の源泉徴収税率は10%、日本の源泉徴収税率は20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)となります。
VYM(バンガード 米国高配当株式ETF)100口で保有で試算
VYM(バンガード 米国高配当株式ETF)を2020年12月31日の終値91.5100米ドルで100口購入したと仮定して試算してみます。
1ドル105円とすると
91.5100米ドル×100口×105円=960,855円
が日本円での投資額となります。
直近の配当(2020年12月21日)が0.8096米ドルが今後も続くと仮定すると
0.8096米ドル×100口=80.96米ドル
が税引き前の分配金になります。
税引き前の分配金に対して米国の源泉徴収率10%を掛けた金額が米国への源泉徴収額になります。
80.96米ドル×10%(米国源泉徴収税率)=8.096米ドル
セント未満を切り捨てとなるため8.09米ドルが米国の源泉徴収額となり、税引き前の分配金から差し引くと下記の金額になります。
80.96米ドル-8.09米ドル=72.87米ドル
次に日本の源泉徴収額計算するのですがこのタイミングで分配金を米ドルから日本円に換金します。
72.87米ドル×105円=7,651.35円
円未満は切り捨てなので、米国の源泉徴収額を引いた分配金は7,651円ということになります。
日本円に変えた分配金に対して、所得税・復興特別所得税と住民税を算出すると
7,651円×15.315%(日本の所得税・復興特別所得税)=1 ,171円
7,651円×5%(日本の住民税)=382円
となり、合算すると日本の源泉徴収額は、
1 ,171円+382円=1,553円
になります。
源泉徴収額を米ドルに換金すると
1,554円÷105円=14.8米ドル
になり、米国の源泉徴収額を引いた分配金から上記金額を引くと
72.87米ドル-14.8米ドル=58.07米ドル
となり米国と日本の源泉徴収額を引いた税引き後の分配金として入金されます。
税率は
(80.96米ドル-58.07米ドル)÷80.96米ドル=0.2827
となり、分配金に対して合計で28.27%が税金として支払っていることになります。
VYM(バンガード 米国高配当株式ETF)の年間の税引き後の分配金率は?
VYM(バンガード 米国高配当株式ETF)を100口持っていた場合の年間の分配金を算出します。
日本円での投資額は先ほど計算した960,855円となります。
年4回の分配金が2020年12月21日と同じ額だと仮定すれば、
0.8096米ドル×100口=80.96米ドル
が年間4回発生するため
80.96米ドル×4回=323.84米ドル
が年間の税引き前分配金になります。
税金は1回につき米国の源泉徴収8.09米ドルと日本の源泉徴収14.8米ドルが掛かるため
(8.09米ドル+14.8米ドル)×4回=91.56米ドル
となり、年間の分配金から年間の税金を引くと
323.84米ドル-91.56米ドル=232.28米ドル
となり、日本円に戻すと
232.28米ドル×105円=24,389.4円
となり、VYM(バンガード 米国高配当株式ETF)の購入額に対する税引き後の分配金率は、
24,389円÷960,855円=0.0253
2.53%が税引き後の分配金率となります。
VYM(バンガード 米国高配当株式ETF)は、基準価格の上昇も狙えるETFですので、分配金に基準価格の上昇を加えた分が利回りということになります。
VYM(バンガード 米国高配当株式ETF)の取扱いネット証券会社
三大ネット証券でVYM(バンガード 米国高配当株式ETF)の取り扱い状況です。
マネックス証券ではVYM(バンガード 米国高配当株式ETF)の取り扱いがありませんので、VYM(バンガード 米国高配当株式ETF)を購入する場合はSBI証券もしくは、楽天証券の口座が必要です。
SBI証券では、NISA口座でVYM(バンガード 米国高配当株式ETF)を購入した場合、購入手数料が無料となり、また、毎月決まった日にちにVYM(バンガード 米国高配当株式ETF)を購入できる定期購入サービスがありますので、楽天証券で購入する明確なメリットがなければSBI証券がおすすめです。